目的はウールの産地と、ウィスキーの聖地の一つであるアイラ島の蒸溜所めぐり。
■ボーダーズ■
イングランドとの境に近い地域はボーダーズと呼ばれ、ツイード川が流れる平坦な丘が広がり、ウールやカシミア製品の生産で知られています。
ボーダーズ。 |
ゆったりと流れるツイード川。古い橋がかかり、散策路もあります。 |
ちょうど羊の出産時期で、どこも子羊がたくさんいました。これはチェビオット種という、このあたり原産でツイードにも用いられる羊です。ツイード川でチェビオット種の親子を見られたという事に一人で感激!
チェビオット種の羊。近づくとしばらくじっと見つめた後、急に走り出します。 |
たくさんのツイードやタータン、カシミア製品がありました。
日本で他の商品に埋もれていると、あまり新鮮味を感じない場合もあるかもしれませんが、やはりどれも味わいがあります。またそれなりの値段はしますがクオリティの高さを感じます。
ツイード |
メルローズ・アビー。地元の美しい赤い石が使われています。 |
典型的なスコティッシュ・ブレックファースト。 真ん中がスコットランド人のソウルフード、ハギス。その手前がブラック・プディング。 |
■アイラ島■
この島のピートに特徴があり、私の夫を含め、この島で造られるくせのあるシングルモルト・ウィスキーのファンは多いようです。
ツアーの十数人のグループや、一人で来ている男性や女性など、日本人が結構来ていて、こんなに大人気とは知りませんでした。海外旅行は通常女性の方が買い物を楽しみがちですが、ここは男女共に楽しむことができていいですね。
LAPHROAIG(ラフロイグ)蒸溜所。ほとんどの蒸溜所は海沿いにあります。 |
大抵のところは蒸溜所見学ツアーを有料でやっていて、最後に試飲ができます。
一番古くて有名なBOWMORE(ボウモア)蒸溜所での試飲。 運転手や飲めない人は瓶に入れて持ち帰れます。 |
ターコイズブルーのBRUICHLADDICH蒸溜所。 |
一般的な商品は日本でも販売され価格もそれほどは変わらないのですが、ここでしか手に入らない、樽から直接取り出したウィスキーなども買う事ができます。
お酒を樽から汲みだし、瓶につめてから缶に入れてくれます。 |
アイラ島には最近できたばかりのものも含め9つの蒸溜所があり、駆け足で全部回ってみました。
雑誌やテレビなどでよく”最果ての地”と紹介され、風の強い荒涼とした島ですが、特異な土地で伝統製法を守って作られる独特のウィスキーを求めて世界中から観光客が訪れ、活気があるとまでは言えなくても、まったく寂れた感はなく、みんな生き生きして、とてもうまくいっているような印象でした。
■ハリス島■
ハリスツイードで知られるハリス島に行きました。
ハリス島は、ヘブリディーズ諸島というかなり北の方にある島々の一つで、ルイス島と地続きになっています。空港のあるルイス島の中心地Stornowayは、意外にも大きくてきれいな、サンフランシスコに似ている街でした。
Stornowayの街。 |
ルイス島にはスタンディング・ストーンのカラニッシュがあります。作られたのは5千年程前だそうで、荒涼とした丘に立つ、数億年前のものという石はとても神秘的です。
カラニッシュ |
ルイス島の下にぶら下がったような小さなハリス島は一見殺風景に思えるのですが、海沿いの自然がすばらしく、ギャラリーやアトリエがたくさんあります。
下のGallery Ardbuidhe Cottageは、海に面した景色のいいギャラリーです。
Gallery Ardbuidhe Cottage |
ギャラリーの前。朝は霧がかかっていましたが、それでもとてもきれいでした。 |
ブラックフェイスという長毛の羊がいました。この姿や色合い、ここの自然とマッチして美しい!
羊 ブラックフェイス種の雌。 |
羊 ブラックフェイス種の雄。この立派な角は長老なのでしょうか。 |
ルイス島とハリス島にはハリスツイードのショップやミルがいくつかあり、生地や製品がおいてあります。
"Harris Tweed and Knitwear"というお店も他と同様ですが、かつてはすでに亡くなっているMarion Campbellという織り手の家で、奥に彼女の織り機や作品が展示されていて、とても感動しました。
Harris Tweed and Knitwear |
羊を飼い、スプーンで岩に生えている苔などを取り、植物で毛を染めて、紡いで、織っていた人で、どこかの雑誌には「おばあちゃんの織った暖かい布」と紹介されていました。今風ではないのでそれだけと映るのかもしれませんが、どの布も、熟練の技術と島の自然と卓越した美意識によって制作された、深みのある素晴らしいものです。
写真では色や質感わかりにくいですが。 |
今も小さなミルやアトリエで丁寧に制作している人たちがいるようなので、もっと訪ねてみたかったです。
■奇跡の絶景■
旅行をしていると、たまたまの季節や天候や光の加減などが絶妙のタイミングで重なり、奇跡的な景観に出会う事があります。今回、ハリス島のLuskentyre (ラスケンタイア) ビーチで出会ってしまいました。
もの凄く遠浅な長い砂浜に海水がひたひたと満ちて鏡のようになり、そこに急速に晴れて来た空や雲が写ってまさに天国のようでした。
クチコミでも世界で最も美しいビーチの一つと絶賛されていて、大きなカメラ機材やドローンを持った人たちも来ていました。
Luskentyre beach (ラスケンタイア・ビーチ) どんな写真でも表現できないくらいきれい。晴れていて満潮に近い時がベストだと思います。 |
下は少し離れたSEILEBOSTビーチ。普通にすごくきれいです。
スコットランドの海沿いは、砂浜も岩場もペットボトルはもちろん、何故かごみが一つも落ちていません。捨てる人もいないと思いますが、流れ着くことがないように見えます。また、風が強い時は少し波立っていますが、いつもはほとんど波がありません。
SEILEBOST beach |
SEILBOST beach。雲が海に写って輝いていました。 |
その後空は晴れ渡り、すれ違う人がみなNice day!と言ってにこにこしていました。空気はチリ一つない感じで透き通り、真っ青で遠くまではっきりと見えます。
ハリス島の先端で籠を船に積んでいました。ロブスターを捕るため餌を入れて沈め、明日引き上げるそうです。
ツーリングの人たちで賑わっていた、かわいいカフェ「Skoon Art Cafe」。この日はこの地方には珍しく1日中快晴で、オーナーらしきチャーミングな女性も、やはりBeautiful day!と笑顔でした。
Skoon Art Cafe。 |
ついにエジンバラから帰路につきました。
天候に恵まれ楽しい旅行ができると、その土地に歓迎され「また来て!」と言われている気分になります。
今回、島への移動など小さな飛行機に何回も乗り、時間がかかったためかなり強行軍で駆け回りました。スコットランドは日本に紹介されることの少ない地域なのであまりイメージがわかず、目的とするウールとウィスキーが見られればと思っていましたが、それだけでなく、思いがけず、すばらしい自然を満喫した旅となりました。
気候は予想していたよりも暖かく、ちょうど東京の4月中旬くらいの新緑の頃の感じで、夏は混雑しているそうなので、ゴールデンウィークあたりは結構いい時期かもしれません。
ヘブリディーズ諸島は新鮮な驚きがあり、すっかり魅了されてしまいました。ぜひともまた行きたい所です。
■買い物
どんぐり用の水栽培器。よく考えたら普通の花瓶でもできるかも。 |
スコットランドの定番、ショートブレッドの入ったWalkersの缶。 |